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初心者でも迷わない設計・発想・ツール活用の進め方
ロゴは「かっこいいマーク」ではなく、あなたの活動やお店、サービスの価値を一瞬で伝えるための看板です。ですが初心者の方ほど、最初から色や形を決めようとして迷子になりがちです。
そこで本記事では、デザイン未経験(IllustratorやCanvaを触ったことがない)でも進められるように、ロゴ制作を3つのアプローチに分解して解説します。さらに、途中で失敗しやすいポイント、判断基準、チェック方法まで踏み込みます。最後まで読めば「自分のロゴがなぜその形なのか」を言葉で説明できる状態になります。
この記事で扱う3つのアプローチ
オリジナルロゴ作りは、次の3つの入口があります。
- コンセプト主導アプローチ:ブランドの意味・約束・世界観を言葉で固め、そこから形を導きます。
- ビジュアル発想アプローチ:形・色・フォント・余白など見た目の要素から発想して、整ったロゴに仕上げます。
- ツール活用アプローチ:AIやテンプレート、編集ツールを使って候補を増やし、最短で形にします。
初心者におすすめなのは、1→2→3の順番です。先に意味を固め、見た目のルールを知り、ツールで量産と調整をする流れが最も失敗しにくいです。
アプローチ1:コンセプト主導で「唯一性」を作る
なぜコンセプトが最重要なのですか
ロゴの唯一性は、最初に決まります。
ここでいう唯一性とは「誰も見たことがない形」よりも、「そのブランドにしか似合わない意味がある状態」です。形が似てしまっても、意味と一貫性が通っているロゴは強いです。逆に、意味があいまいなまま作ると、どこかで見た雰囲気に寄ってしまい、オリジナル感が薄れます。
まずは3行のコンセプトを作ります
初心者の方は長文を作る必要はありません。次の型で3行だけ書いてください。
- 誰に:
- 何を:約束(提供価値)
- どんな気持ちに:体験(感情)
例)
- 誰に:忙しい子育て中の人に
- 何を:約束:10分で作れる栄養ごはんの選択肢を
- どんな気持ちに:罪悪感が減り、ほっとできる気持ちに
この3行が決まると、ロゴの方向性が急に絞れます。
コンセプトをデザイン要素に翻訳する方法
次に、コンセプトを「見た目」に翻訳します。ここがデザイン未経験者のつまずきポイントなので、翻訳表を使います。
- 安心、やさしい:丸み、角を減らす、線を細めに、余白多め
- 信頼、堅実:直線多め、左右対称、余白を揃える、色数を絞る
- 高級、上質:細い線、余白大きめ、モノトーン寄り、装飾は少なめ
- 元気、楽しい:明るい色、リズムのある形、角度や動きを入れる
- 自然、オーガニック:曲線、葉や水滴など連想モチーフ、緑やアースカラー
この段階で「使うモチーフ候補」と「雰囲気(硬い/柔らかい)」を決めます。モチーフは多くても2つまでがおすすめです。3つ以上入れると情報が増えすぎて小さくしたときに潰れます。
初心者がやりがちな失敗と回避策
失敗1:コンセプトが抽象的すぎる(例:かっこよく、信頼、安心)
回避:誰に向けての信頼かを具体化します。相手が変わるとロゴも変わります。
失敗2:モチーフが説明的すぎる(例:パン屋ならパンの絵)
回避:直接の絵ではなく、体験や価値を象徴する要素に寄せます。パン屋なら「香り」「温度」「手作り感」などの要素です。
アプローチ2:ビジュアル発想で「整ったロゴ」にする
コンセプトを作っても、見た目が整わないと素人っぽく見えます。ここでは初心者が即実践できる「整えるルール」を紹介します。
ロゴの基本構成を知っておきます
ロゴは主に次の組み合わせでできています。
- ロゴマーク(シンボル)
- ロゴタイプ(文字)
- 色
- 形(円、四角、線の太さ)
- 余白(詰まり具合)
初心者の方は、まず「ロゴタイプ+小さなマーク」の組み合わせが作りやすいです。マーク単体で勝負するのは難易度が上がります。
ロゴの型を選ぶと迷いが減ります
型を決めるだけで、完成までの道筋が見えます。おすすめは以下です。
・文字中心(ワードマーク)
読みやすさが正義です。小規模ビジネスや個人に強いです。
・頭文字(モノグラム)
英字やイニシャルに向きます。シンプルにしやすいです。
・マーク+文字(コンビネーション)
初心者の成功率が高いです。SNSアイコンと横長ロゴの両方に展開しやすいです。
色のルール:まずは2色までにします
色を増やすほど難易度が上がります。最初は2色、慣れても3色までが安全です。
さらに、実務で困りがちなのが「白黒で成立しないロゴ」です。色を取っても形で判別できるように、白黒版(単色版)を必ず作る前提で進めます。
おすすめの手順は次です。
- 黒1色でまず形を完成させます
- 次にメインカラーを1色だけ足します
- 必要ならアクセントを追加します
フォントのルール:2種類まで、太さは2段階まで
フォントを増やすと統一感が壊れます。
初心者の方は、フォントは1種類でも十分です。使う場合も2種類までにします。太さも「通常」と「太め」くらいの2段階で止めると綺麗にまとまります。
余白とサイズのテストが「素人っぽさ」を消します
ロゴは小さく表示される場面が多いです。SNSのアイコン、スマホのヘッダー、名刺などです。
そこで次のミニテストをやります。
- 24px相当で見ても、何の形か分かりますか
- 白黒にしても判別できますか
- 離れて見たとき(距離2m想定)でも塊が読み取れますか
- 横長(ヘッダー)と正方形(アイコン)で崩れませんか
このテストを通ると、デザイン経験がなくても「使えるロゴ」になります。
アプローチ3:ツール活用で「候補を増やして勝つ」
初心者の最大の武器は、候補をたくさん出せることです。ツールはここで効きます。大事なのは、最初からツール任せにしないことです。コンセプトを持った上で使うと、ツールの提案が一気に良い方向へ寄ります。
ツールの役割は3つです
- 候補出し(アイデアを増やす)
- 整える(余白、配置、フォントのバランス)
- 書き出し(SNSや印刷に合わせた形式)
CanvaやAIロゴ生成ツールは候補出しに強いです。Illustratorは微調整と書き出しに強いです。初心者は、まずCanvaで形にしてから、必要になったらIllustratorに移すでも問題ありません。
AIを使うときのコツは「指示の粒度」です
AIに丸投げすると、テンプレ感の強いロゴが出やすいです。そこで、次の項目を入れてから生成します。
- 業種
- ターゲット(年齢、性別ではなく状況や悩み)
- コンセプト3行
- 避けたいテイスト(例:子どもっぽい、安っぽい、派手すぎる)
- 使いたい形(丸、直線、左右対称など)
- 色数(2色まで)
- ロゴタイプ優先か、マーク優先か
この条件があるだけで、オリジナル方向に寄ります。
3つのアプローチを統合する実践ステップ
ここからは、初心者がそのまま進められる順番です。
ステップ1:準備(15分)
コンセプト3行を作ります。
次に、好きな雰囲気のロゴを5個だけ集めます。多すぎると迷うので5個が良いです。集めたら「何が好きか」を言語化します。丸い、細い、余白が広い、などの言葉で十分です。
ステップ2:ラフ(20分)
紙に10案描きます。上手く描く必要はありません。丸と四角と線でOKです。
ここでの目的は、思考を外に出すことです。10案描くと、後半で急に良い案が出ます。
ステップ3:ツールで清書(30分)
Canvaなら、テンプレを使っても問題ありません。重要なのは「コンセプトに合うか」です。
編集はまず配置と余白だけを整えます。色や装飾は後回しにします。
ステップ4:チェック(10分)
次のチェックリストで落とします。
- 白黒でも成立する
- 24px相当でも潰れない
- 色は2色まで
- フォントは2種類まで
- 説明なしでも印象が伝わる(優しい、信頼、元気など)
ステップ5:書き出し(10分)
最低限、次の3つを用意すると運用が楽です。
- 正方形(SNSアイコン用)
- 横長(ヘッダー、名刺用)
- 単色(黒)版
評価ルーブリック:ロゴの出来を自己採点します
迷ったときは点数化すると決めやすいです。各項目5点満点で採点してください。
- 一貫性(コンセプトと見た目が一致している)
- 視認性(小さくしても読める)
- 独自性(そのブランドらしい理由が説明できる)
- 汎用性(SNS、印刷、白黒で使える)
- 記憶性(1回見て形が思い出せる)
合計が18点を超えたら、実運用に出しても大きく困りにくいです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 色は何色が正解ですか
正解は目的次第ですが、初心者の方は2色までが安全です。まず黒1色で成立させ、次にメインカラーを足すと失敗が減ります。
Q2. IllustratorとCanvaはどちらが良いですか
最初の完成までの速さはCanvaが強いです。微調整や拡大縮小に強いのはIllustratorです。初心者の方は、まずCanvaで形にして「運用しながら必要になったらIllustrator」をおすすめします。
Q3. テンプレを使うとオリジナルになりませんか
テンプレをそのまま使うとテンプレ感が出ますが、コンセプト、色数、余白、フォントのルールを守って調整すると十分オリジナルになります。大事なのは「その形である理由」を言語化できることです。
Q4. 商用利用は問題ないですか
ツールや素材、フォントのライセンスに依存します。CanvaやAIツールの利用規約、フォントの商用可否は必ず確認してください。不安なら、フリー素材でも商用可の明記があるものだけに絞ると安全です。
Q5. 作ってから修正したくなったらどうしますか
最初のロゴは完成度より運用が大切です。SNSで使ってみて、見づらい、印象が違うと感じたら、色数を減らす、線を太くする、余白を広げるの順で直すと改善が早いです。
まとめ:世界で一つだけのロゴは「意味」と「運用」で作れます
オリジナルロゴを作る近道は、奇抜な形を狙うことではありません。
コンセプト主導で意味を固め、ビジュアルのルールで整え、ツールで候補を増やして磨く。この3つを順番に回すことで、初心者でも十分に世界で一つだけのロゴに到達できます。
最後に、あなたのロゴは「なぜこの形なのですか」と聞かれたとき、3行で答えられる状態にしておくのが強いです。そこまでできたら、ロゴは単なる絵ではなく、ブランドの武器になります。







