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イラスト入りロゴの使い方|ブランディングとの相性とは?【初心者向けガイド】

ロゴにイラストを入れると、親しみと物語が一気に伝わる。ただし、使う場面や作り方を間違えると「小さくすると潰れる」「量産テンプレと被る」「法務が曖昧」など、運用で困りがち。この記事は、イラスト入りロゴの適切な使いどころ、作り方、運用ルール、法務の注意点までを一気に整理する。結論は次の三つだ。
一つ、イラスト入りは親近感と記憶性で強い。二つ、最小サイズと単色成立を必ず担保する。三つ、ガイドラインと権利処理を先に決めてから走る。

1,まず定義をそろえる:何が「イラスト入りロゴ」か

ここで扱うのは、絵的要素を含むロゴ全般だ。代表的には次の四型。
ロゴタイプ+小イラスト(文字が主、ワンポイント)/マスコットロゴ(キャラクター中心)/エンブレム(枠内に絵と文字を収める章標)/シンボル+ロゴタイプ(抽象図形やイラストと文字の組合せ)。ロゴは「記号として機能するか」を最優先に設計する。

2,相性の良いシーンと苦手なシーン

イラスト入りが強いのは、親しみ・物語・差別化を優先する領域。飲食、地域・観光、教育、D2C、アプリ、イベント、スポーツは特に有効だ。キャラクター化やストーリー展開で、SNSとグッズ展開の相乗効果が出やすい。

一方で、微小表示や刺繍・スタンプなどの物理再現に弱くなりやすい。線幅や点の密度が限界を超えると潰れる。最小サイズや線幅の基準を最初に持ち、単色で成立させてから彩色するのが安全だ。

3,作り方の全体像(5ステップ)

1,目的と言いたいことを一文で言語化
誰に、どんな印象を、どの接点で届けるかを書き出す。イラストに何を担わせ、文字側で何を担保するかを決める。

2,使用場面を棚卸し
名刺、サイト、SNSアイコン、梱包、看板、刺繍や刻印など。最小サイズと単色運用の有無を先に確かめておく。

3,方向性を分けてたたき台を作る
ロゴタイプ主/マスコット主/エンブレム主の三方向で案を出し、9案程度に広げてから機械的に絞る。

4,客観基準で二者択一まで絞る
わかりやすさ、記憶性、普遍性、意味、汎用性。白黒・縮小・背景反転の成立で判定する。

5,ガイドラインに落とし込む
クリアスペース、最小サイズ、色数と版、使用禁止例、データ形式。完成前に叩き台を作っておくと後工程が速い。

5,設計の核心:小さくしても崩れない骨格を先に作る

イラストは情報量が乗るほど魅力的だが、ロゴは最終的に小さく表示される。だから骨格設計の順番が重要になる。
線は太さのムラを抑え、要素は減らし、陰影は面で簡略化。まず単色・輪郭のみで成立するかを見て、次に色のバリエーションを乗せる。刺繍では線幅1mm前後、文字は高さ1cm以上など現実的な限界がある。

表記のコツは、イラスト側で感情を、文字側で識別を稼ぐこと。長い社名なら、略称や頭文字を「小サイズ用の省略版」に。

6,イラスト入りロゴの型と使い分け(簡易表)

どんな見え方か相性の良い用途苦手先に決めること
ロゴタイプ+小イラスト文字が主でワンポイントの絵企業全体、B2B、媒体汎用キャラ推しの物販絵の抽象度と比率
マスコットロゴキャラクター中心子ども・来店型・D2C・SNS極小表示、刺繍線幅・省略版・グッズ展開
エンブレム枠内に絵と文字学校・スポーツ・工芸細部が多いと縮小に弱い枠の厚み・最小サイズ
シンボル+ロゴタイプ抽象イラスト+文字幅広い。アプリやSaaSも意味が曖昧だと伝わらない役割分担と言語化

イラストの表現力を活かしつつ、最小サイズと単色成立を先に満たすのが共通の鍵。

7,業種別の勘どころ

飲食・地域・教育は親しみ優先。丸み、目の表情、道具や食材の抽象化が効く。ITやB2Bは抽象寄りの図形と最小限のイラストで“遊び心の度合い”を微調整する。スポーツやイベントはエンブレムやマスコットが相性良いが、微小表示やモノクロの耐性が成否を分ける。

8,AIを使った進め方(初心者向け)

手順はシンプルだ。
ロゴタイプ案を三種(太さ・字間・大小)、マスコット案を四種(表情×ポーズ)、エンブレム案を二種(丸枠/盾枠)。すべて単色で出し、縮小テストと白黒化でふるいにかける。合格案だけに色と陰影を足す。評価は「わかりやすさ/記憶性/普遍性/意味/汎用性」で採点。

プロンプト作成のコツは、抽象度と情報量の上限を指定すること。
例:単色/線は均一/細部は省略/10mm角で判読/白黒成立/写真背景OK。これで“雰囲気優先の描き込みすぎ”を避けられる。

9,法務・権利の落とし穴を先に潰す

ストック素材やフリー素材のイラストを、そのままロゴや商標に使うのは多くのサービスで禁止または非推奨だ。Adobe Stock でも「ロゴ・商標としての使用不可」が明記される。フリー素材も規約しだいではロゴ用途NG、二次加工不可、クレジット必須など条件がある。長期運用するロゴは、オリジナル制作か独占利用を前提に契約するのが安全。

マスコットは著作権の塊だ。制作委託時は権利帰属、二次利用、商標登録の可否、デザイナー名表記、改変可否を契約で明文化する。既存キャラに類似していないかの確認も必須。

10,運用の実務:最低限のセットと禁止例

最小限の納品セットは、カラー版、白黒版、単色版、小サイズ用の省略版、縦横レイアウト、アイコン版、色コードとフォント名。使用禁止例(縦横比変更、独自の縁取りや影の追加、低解像度拡大、背景とのコントラスト不足)もガイドに明記する。企業や団体の公開ガイドは、この構成で一貫している。

11,失敗しやすいパターンと回避法

  • 細部の描き込みすぎで縮小に弱い→単色・輪郭のみで先に成立させる。
  • 企業名が読めない→文字は太さと字間を詰め、イラストは比率を下げる。
  • 色頼み→白黒にしても意味が残る設計に。
  • 既視感の強いテンプレ→類似調査と、線の方向・抜き・空白で差別化。

12,チェックリスト(公開前の最終確認)

  • 10mm角、32px角で判読できる
  • 白黒、単色で成立する
  • 暗い背景、写真背景でも読める版がある
  • 刺繍や刻印の線幅・文字サイズを満たす
  • ガイドラインに最小サイズ、スペース、NG例がある
  • ストックやフリー素材の流用がない(規約確認済み)
  • 商標にする場合、先行類似の目視チェックは済んだ

13,よくある質問(FAQ)

Q. B2Bでもイラスト入りはありか
A. あり。抽象寄りのシンボルや幾何の上に最小限のイラスト要素をのせる設計が無難。可読性と最小サイズの管理さえできれば、硬い業種でも“親しみ”を補える。

Q. マスコットか、文字+小イラストかで迷う
A. 小サイズが多いなら後者。マスコットはグッズやSNSで強いが、線幅や省略版の設計が必須。

Q. ストックのイラストを少し直して使ってもいい?
A. ロゴ・商標としては不可や非推奨が多い。独占できず、規約違反になるケースもある。独自制作に切り替えるのが安全。

Q. ガイドラインはいつ作る?
A. デザイン確定と同時に草案を作る。クリアスペース、最小サイズ、色、NG例、データ形式は必須

Q. 刺繍で潰れる
A. 線幅1mm以上、文字高さ1cm以上を目安に。省略版(輪郭だけ、要素削減)を作る。

まとめ

イラスト入りロゴは、親しみと記憶性で圧倒的に強い。ただし、ロゴは最終的に小さく、単色で、さまざまな背景の上で使われる設計物だ。だからこそ、単色での成立と最小サイズの確保、クリアスペースやNG例を含むガイドライン、ストックやフリー素材を安易に使わない権利設計を“先に”固める。ここを押さえれば、初心者でもイラストの魅力を保ったまま、長く使える“会社の顔”にできる。

著者写真

sakuma

監修

株式会社シンプルワークス/デザイナー

入社10年。Webデザイン/SEO/ロゴデザインを中心に、制作から運用改善まで横断対応。成果につながる“使われるデザイン”を追求しています。

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