名刺は、顔を知らない相手に自分を伝える最初のツール。
そこに載るロゴはブランドの象徴であり、「配置」「サイズ」「見え方」のちょっとした違いで印象が変わる。
参考サイト各所でも「ロゴを小さくても認識できる形に整えること」「余白を取ること」の重要性が指摘されている。この記事では、初心者向けに名刺ロゴの基本ルールから実際の配置・サイズの目安、失敗例と改善法、作成手順、チェックリストまでを体系的に解説する。
Contents
1,名刺とロゴの基本知識
名刺の標準サイズと余白
- 日本で最も一般的な名刺サイズは 91×55mm
- 印刷所やデザインガイドでは、四方に 3〜5mmのセーフマージン を確保するよう推奨されている
- ロゴや文字を端ギリギリに配置すると裁断ズレで切れる恐れがある
名刺デザインにおける優先順位
- 会社名
- 氏名・肩書き
- 連絡先(電話・メール・住所・URLなど)
CanvaやSanko1などのレイアウト解説記事でも、この順序を基準に構成するのが一般的とされている。
2,ロゴ配置のパターンと印象

配置 | 印象・メリット | 注意点 |
---|---|---|
左上 | 定番。自然な視線誘導が可能 | 左揃えレイアウトとの相性が良い |
右上 | 少し変化を出せる | 他要素との兼ね合いに注意 |
中央上 | 対称性が強まり、バランス型 | 他要素の配置スペースを圧迫しやすい |
左中央 | ロゴ+文字を縦並びで配置可能 | 全体が下に寄りすぎる場合あり |
中央 | ロゴ主役のデザインに適する | 情報量が多いと窮屈になりやすい |
これは名刺上のロゴ配置による印象の違いを比較したものです。
左上や中央上などの配置は、視線の流れが自然で安定感があり、名刺全体の調和を保ちやすい傾向があります。
名刺の余白(セーフマージン)をしっかり取ることで、裁断ズレや圧迫感を防げます。
3,参考になる名刺ロゴ配置のサンプル画像集
Card Logo Design
名刺ロゴの基本構成を押さえたデザイン例。中央配置や左右バランスを比較したいときに便利。
Logo Business Card Template | PosterMyWall
シンプルで企業ロゴ入りのレイアウト例。ロゴを左上に配置したモダン構成。
Luxury Business Card Design with Golden Lines
高級感ある金色ライン入りデザイン。美容・ラグジュアリー系ブランドの名刺参考に最適。
Creative Business Card Design Free Template
ロゴを右上に配置したクリエイティブ業界向けテンプレート。余白設計の参考にも。
4,ロゴサイズの考え方
推奨目安
- ロゴ幅は名刺の短辺(55mm)の 15〜20%程度
- 別の指針としては 20〜30mm以内 に収めるケースが多い
- ロゴは一度大きめに作り、縮小して調整すると劣化しにくい
可読性チェック
- ロゴ内の文字は 10mm幅以下でも読めるかを確認
- 線は 0.25pt未満だと印刷で消える可能性が高い
- 複雑すぎる図柄は潰れるため、簡易版を用意しておくと安心
5,ロゴと文字情報のバランス設計
- 強弱づけ:ロゴ>会社名>氏名>連絡先
- フォント選び:ゴシックやサンセリフ系で可読性重視。書体は2種類以内が安全
- 揃え方:左揃えは読みやすさ重視、中央揃えは高級感、右揃えはアクセント
- 行間・字間を整えることで、ロゴと文字情報が調和する
6,よくある失敗例と改善策

この図は、名刺ロゴのよくある失敗例と改善策を対比したものです。
左の「Before」は、ロゴが大きすぎて他の情報を圧迫し、背景とのコントラストも不足しています。
右の「After」では、ロゴサイズを適正化し、余白を確保することで全体の印象がすっきりと整っています。
改善の3つのポイントは以下の通りです。
- ロゴのサイズを小さくしてバランスをとる
- 配置位置を整えて視線の流れを意識する
- 背景とロゴのコントラストを高めて視認性を上げる
その他にも考えられる失敗例と改善策はこちらです。
失敗例 | 問題点 | 改善策 |
---|---|---|
ロゴが大きすぎて他要素を圧迫 | 読みにくさ・圧迫感 | ロゴを縮小し余白を確保 |
端ギリギリに配置 | 裁断ズレでロゴが欠ける | 3〜5mmのマージンを確保 |
細かすぎる線や文字 | 縮小時に潰れる | 簡略化・太線化したロゴを用意 |
淡色ロゴを薄背景に配置 | 視認性低下 | コントラスト強め or 白黒版を用意 |
ロゴと文字が重なる | 可読性の低下 | 背景色で分離 or 配置調整 |
7,実際の作成フロー(初心者向け)
- 名刺サイズ(91×55mm)を設定
- ロゴ配置を複数パターンで試す
- ロゴサイズを短辺の15〜20%程度に調整
- 会社名・氏名・連絡先を強弱をつけて配置
- セーフマージンを確認
- 縮小・モノクロ印刷でテスト
- 仕上げを印刷所仕様に合わせて出力
8,よくある質問(FAQ)
Q1:ロゴが印刷で切れてしまうのを防ぐには?
A:名刺の端から3〜5mmの「セーフマージン」を必ず取るのが基本です。印刷所によって裁断位置が微妙にズレることがあるため、ロゴや文字をギリギリに配置すると欠ける原因になります。余白をしっかり確保しましょう。
Q2:ロゴを中央配置にしても大丈夫?
A:可能です。ただし、中央配置は印象が強く、他の情報とのバランスをとるのが難しい場合があります。会社ロゴなど主張したい場合に適しており、中央上や左上の方が安定感を出しやすいです。
Q3:名刺のロゴはどのくらいの大きさがいい?
A:名刺の短辺(55mm)の15〜20%が目安です。これはロゴの幅が約8〜11mm程度ということになります。強調したい場合でも30%(約16mm)以内に収めるとバランスよく見えます。
Q4:ロゴと背景の色はどんな組み合わせがいい?
A:コントラストを意識するのがポイントです。淡い背景には濃いロゴ、濃い背景には明るいロゴを使いましょう。印刷では、モニターより少し暗く出る傾向があるため、テスト印刷で最終確認を行うと安心です。
Q5:Canvaなどの無料ツールでも名刺ロゴは作れますか?
A:はい、可能です。Canva Freeでも名刺テンプレートやロゴ作成ツールがあり、初心者に向いています。ただし、無料素材の中には商用利用が制限されているものもあるので、利用条件を確認しておきましょう。
Q6:印刷データはどの形式で入稿すればいい?
A:一般的にはPDFまたはAI(Illustrator)形式が推奨されます。Canvaなどから出力する場合は、解像度を300dpi以上に設定し、文字を画像化(アウトライン化)しておくとトラブルを防げます。
Q7:名刺ロゴはWebサイトのロゴと同じでいい?
A:基本は同じデザインでOKです。ただし、名刺は小さな紙面なので、Web用ロゴをそのまま使うと潰れることがあります。線を太くしたり、簡略化した「名刺用バージョン」を別に用意すると効果的です。
9,まとめ
名刺に最適なロゴは、「小さくても認識でき、情報と調和する配置とサイズ」にある。
標準サイズの名刺ならロゴ幅は短辺の15〜20%、または20〜30mm程度に収め、余白ルールを守るのが基本。配置パターンやフォント選びのセオリーを活用し、失敗例を避けて仕上げれば、初心者でもプロ並みに整った名刺ロゴを作れる。
10,おまけ:名刺ロゴ最終チェックリスト
名刺にロゴを入れる前に、以下のポイントを確認しましょう。
印刷前の最終チェックとして使えば、失敗を防ぎ、デザインの完成度が一気に上がります。
1. サイズと余白
□ 名刺サイズ(91×55mm)に合わせて作成している
□ ロゴが端ギリギリに寄っていない(3〜5mmの余白を確保)
□ ロゴサイズは短辺の15〜20%(約8〜11mm)に収まっている
2. 配置バランス
□ ロゴの位置が視線の流れに沿っている(左上 or 中央上など)
□ 会社名・肩書き・連絡先とのバランスが取れている
□ 情報量が多すぎず、余白にゆとりがある
3. 視認性と印刷対策
□ ロゴの色と背景のコントラストが十分
□ 細い線や小文字が潰れていない
□ 実寸印刷で視認性テストを行った
4. ブランド統一
□ WebサイトやSNSで使用しているロゴとデザインが統一されている
□ 名刺専用に簡略化されたバージョンがある(線を太く・配色調整)
□ ロゴカラーがブランドガイドラインに沿っている
5. データと入稿設定
□ 出力形式はPDFまたはAI(Illustrator)形式
□ 解像度300dpi以上で作成されている
□ 文字をアウトライン化済み(フォント置き換え防止)
6. 最終確認
□ モノクロ印刷でも認識できるか確認した
□ 裏面やQRコードとのバランスも確認した
□ 社内や第三者にレビューしてもらった
このチェックリストをすべてクリアすれば、名刺ロゴは実用的かつ印象的な仕上がりになります。
印刷前の最終ステップとして活用してください。