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1.はじめに
ロゴマークを作成するにあたり、発注側が気になるポイントは大きく3つあります。
それは「質」「価格」「納期」です。
中でも気になる方の多いのが「価格」ではないでしょうか。
「相場があってないようなもの」と言われることが多いデザイン業界。ロゴマークにおいては、クラウドソーシングサイトの台頭や、ロゴマーケットを始めとしたロゴマーク販売サイトなどの登場により、今までよりも相場観がわかりやすくなりました。
また「ココナラ」に代表されるような、スキルを販売するオンラインマーケットでロゴマーク作成を依頼する方も多く見られるようになりました。
ただ、やはり個人で活動しているデザイナーやデザイン制作会社に依頼した場合は、前述のサイトとは違った相場観になります。
では、そもそもロゴマークの料金はどうやって決められているのでしょうか。
今回は、ロゴマークに掛かる料金の内訳について考えてみました。
Point:ロゴマークにかかる料金の内訳について考えよう
2.見積からロゴマークの内訳を考えよう
ロゴマークの料金内訳といいましたが、デザインという特性上、この部分にいくら、このコンセプトだからいくら、といったような料金の内訳は、明確にはわかりません。
デザイナーは、ある意味自分自身が商品だと言えます。単純に受賞歴や経験、作業時間で料金を決めることができないからこそ、料金形体にばらつきがでてしまうのはしかたのないことです。
とはいえ、デザイナーも何かしらの根拠や経験を持って価格を決めているはずですから、内訳を知るヒントもどこかにあるはず。
ということで、今回着目してみたのは「見積書」です。
見積書の項目から紐解くロゴマーク価格の内訳
デザイン制作会社やフリーランス、ロゴマーク販売サイトの見積書を調べてみると、以下の項目を見積書に記載しているところが多く見られました。
- デザイン費 ー デザインという行為全体に価格が設定されている
- CI/VI作成費 ー CI(コーポレート・アイデンティティ)およびVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)に価格が設定されている
- 提案数 ー 提案数に応じて価格が設定されている
- 修正数 ー 修正数に応じて価格が設定されている
デザイン費
最もよく見るであろう「デザイン費」は、ロゴマークをデザインするに当たってのベースとなる項目であり、この部分がデザイナーの力量や経験にのっとって設定されている部分と言えます。
※2021年2月13日更新情報※
デザイン費にはデザイナーの人件費も含まれています。そのため工数や関わるデザイナーの人数にも左右されます。また修正費やディレクション費用がこちらに含まれることもあります。
ディレクション費
いわゆる営業にかかる費用です。スケジュール管理や企画立案など、デザインとは異なる部分で発生する費用が「ディレクション費用」として算出されます。またデザイン費に含有されることもあります。
※2021年2月13日更新情報※
個人とやり取りする場合は特に、ディレクション費がデザイン費に含まれることもあるようです。
CI/VI作成費
一方、デザイン費ではなく、「CI/VI作成費」として見積書を作成しているところもありました。
CI(コーポレート・アイデンティティ)およびVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)とは、企業価値を高めるために、ロゴマークなどのデザインイメージを統一させ、誰がみても「これだ」とわかるようにロゴマークを使うための戦略の一つ。ロゴマークにとって指針のようなものです。
「超初心者でもわかるWEBでのロゴマークの使い方」でもご紹介したとおり、企業や商品のブランディングを考える上で、なくてはならないものの一つだと言えます。
単にロゴマークを作成するのではなく、ブランディングや企業戦略を見据えてロゴマークを作成する場合は、必然的にこの部分の価格が高くなるようです。
※2021年4月28日更新情報※
CI・VIを作成する際には、同時にガイドラインも作成する必要があります。これはCI・VIの認識を社内で統一するとともに、ロゴを使用する社内外の方に認知していただくためです。
ガイドライン作成の方法については「知らないと損するロゴガイドラインの話」でもご紹介しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
採用数・修正数
その他、提案数や修正回数も価格を左右するポイントの一つ。あらかじめ修正回数が決められている場合は、修正回数が多いほど、価格が高くなります。また、何パターンも提案数を出す場合も、1案出す場合に比べて、価格が上がる傾向にありました。
修正回数ごとに価格設定をしていない場合でも、打ち合わせ段階で修正回数の目安を決めている方も多いようです。こうした場合、修正回数ごとに追加費用が発生するところもあれば、打ち合わせで決められた回数のうちであれば、追加費用はかからないというところもあります。
データ納品費
ロゴデータを納品する際、必要なデータ形式に変換するための費用です。デザイン費に含まれることもあります。
版権買取費
たとえ企業の依頼で作成したとしても、作成されたデータの版権はデザイナーにあります。そのため、版権まで買い取るためには別途費用がかかります。
中には版権の買取も込でデザイン費としているところもあります。
商標登録費
作成したロゴマークを商標登録する場合に必要となる費用です。
Point:ロゴマークの見積書は「デザイン費」「CI/VI作成費」「提案数」「修正回数」などの項目で構成されていることが多い
3.追加で費用を請求される場合も
ただ、修正をしていく中で、当初のコンセプトや打ち合わせの内容とは全く違ったをするクライアントもいます。その場合、改めて提案および価格設定の仕切り直しを依頼するデザイナーも少なくありません。
修正回数を決めることは、単純にデザイナーの作業費用にかかわる部分だけではなく、修正を重ねることにより、ロゴマーク作成の軸になる部分がぶれることを防ぐという意味もあるようです。
コンペ方式の場合も「修正しすぎ」に注意
これはコンペ方式でも問題になりがちなこと。
コンペ方式の場合、提案されたデザインをベースに最小限の修正を行うことが一般的です。
しかし、中には根底から全く異なるようなデザイン修正を依頼する方発注者もいます。
これはコンペで当選したというよりも、コンペをきっかけに新たにオリジナルでデザインを作成してほしいと言っているようなもの。修正については追加料金で対応したいというデザイナーがいらっしゃってもしかたのないことではないでしょうか。
発注先をどこにするにせよ、ロゴマークで大切なのは、伝えたい想いやコンセプト、ロゴマークを作る意味や意義です。この部分がぶれてしまうと、ロゴマーク作成がうまくいかないだけでなく、本来必要のない修正を行うことにもなり、費用がかさんでしまうことにもつながります。
ロゴマークを作成する際は、こうした軸となる部分をしっかり設定した上で、作成を進めるようにしましょう。
今回ご紹介した内訳や項目は、必ずしも全ての見積書に当てはまるわけではありません。ただ、こうした項目で見積書が構成される傾向が強いので、ロゴマークの金額を見る際の参考にしてみてください。
Point:修正を重ねることは、費用がかさばるだけでなく、本来のコンセプトから遠のくことにもつながる
4.まとめ
■ロゴマークの内訳を知る上で参考にしたいのは「デザイン費」「CI/VI作成費」「提案数」「修正回数」
■修正が多いと追加費用が必要になることも ■修正が続くと根本的なコンセプトなどがずれるおそれがある |