世の中からは年々「ペーパー」というものが少なくなっています。
書籍や雑誌業界ではバブルを経て、印刷されるものがどんどん減ってきました。そこにとってかわったのがほかでもないweb。
どの出版社も紙媒体としての販売よりも、安くて便利なwebへの移行が進んでいます。
そんな時代にあっても、紙の手触りや手に持って読む姿勢、その行間が持つ世界観などを愛する人もまた、世の中からけっして無くなることはありません。
過去に【出版社】白水社の新旧ロゴマークとロゴ作成の参考にしたいポイントについての記事をご紹介させていただきましたが、今回「ほがらかな出版社」と自ら謳うミシマ社らしいロゴマークに注目してみました。書籍や雑誌の本来の姿を私たちに伝えてくれる出版社=ミシマ社は、少しずつファンを増やし、新しい出版のあり方まで作り上げてくれました。
新たな流通などを生み出した新興出版社ミシマ社の懐かしくて新しいロゴ
画像引用元:ミシマ社
ミシマ社は2006年に東京の自由が丘で三島邦弘が設立した、まだ歴史の浅い出版社です。
理念は「原点回帰の出版社」。そして「自由が丘のほがらかな出版社」をスローガンにし、「一冊入魂」をモットーとしています。
特筆すべきことは、日本の多くの出版物が当たり前のように利用している流通システムの「取次」を通さずに、独自ルートや書店と直接販売契約を結ぶなど、手間暇をかけた出版業務を新たな可能性として展開しています。
現在は京都市にもオフィスを構え、2拠点で出版活動を行っています。
“ほがらかな”で懐かしく、新しさや現代らしさもあるタイムトリップ型ロゴ
そんなミシマ社のロゴマークは創業以来変わっていません。
どこかほんわかほのぼのとした手書き風のフォントが印象的です。
さらにLINEスタンプにも活用されているこのロゴ。良く見ると丸いラインの中の「ミシマ」の文字が、人の顔のパーツに見えなくもないですね。これをLINEスタンプに使っちゃうあたり、そのセンスが素晴らしすぎます。
このロゴマークをデザインしたのは、アートディレクターの寄藤文平氏。
寄藤氏はミシマ社の他の書籍の装丁なども数多く手がけています。
寄藤氏の作品も、ミシマ社の出版物も、どこかに懐かしさを含みつつも実はとても尖がっていて、現代という時代や空気のちょっとした隙間を突く、鋭い視線すらも感じられます。
ミシマ社のロゴマークにも理念である「原点回帰」という言葉に通じるものを感じるような気がします。
誰かを温かい気持ちにさせるためには、実はとても鋭い視線も大切だということが、ミシマ社の姿勢やそのロゴマークひとつで伝えられているのではないでしょうか。
そんなミシマ社ですから、今後の出版物にも注目していきたいですね。
参考サイト
ミシマ社
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