画像引用元:ファイザー株式会社
新型コロナ感染症が世界で広がり、人類の英知をかけた戦いを支える大きな武器がワクチンです。
2020年12月、世界で初めてイギリスやアメリカで使用を認可され、またEUでは新型コロナ感染症のワクチンとして初めて承認されたのが、アメリカのファイザー製薬とドイツのビオンテック社が共同開発したワクチンです。
日本国内でも現在、ワクチン接種が少しずつ進み、いまやファイザー社の名前を知らない人は非常に少ないのではないでしょうか。
今回は、これからロゴマークを作成しようとお考えの方に、ファイザーのロゴマークのこれまでの歴史、そしてそのポイントをご紹介します。
長年愛用してきた楕円形の中に社名を刻印したロゴを刷新
ファイザー社の創業当初のロゴマークは、丸い円の形の中に社名などが入ったシンプルなものでした。
1948年に登場した世界地図のような楕円形の中に「Pfizer」の文字があしらわれたロゴ。この楕円形と社名のfとiが一つのつながった文字『合字』というデザインを基本形としたロゴが、以降50年以上採用されてきたことになります。
創業当初のロゴ
画像引用元:ファイザー株式会社
2009年から使用されてきた前ロゴ
画像引用元:ファイザー株式会社
このロゴでは同じ楕円形でも右上がりになり、カンパニーカラーのブルーにグラデーションをほどこし、左側が明るく輝いているようにも見えます。
この楕円形は錠剤のフォルムだと言われています。
新しい科学分野への挑戦と、科学と患者の幸福に対する情熱と献身を表した新しいロゴ
ファイザー社は2021年1月に新しいロゴを発表しました。
この新ロゴはこれまでのファイザー社が踏襲してきた形やデザインから、大きく飛躍し、新たなフェーズへと同社が前進していこうとしていることがうかがえます。
2021年1月に発表された新しいロゴ
画像引用元:ファイザー株式会社
まず目に飛び込んでくるのは左側にあしらわれた2本のらせん状のライン。このシンボルマークが新たに作られたことは、過去のロゴとはまったく異なる特徴です。
このラインが表しているのは、人の身体の基本となる生物の遺伝情報が含まれているDNA。前作まで受け継がれてきた楕円形は錠剤をイメージしていたとされていますが、新作ではまったく違うシンボルマークとなっています。
また社名に使用されているワードロゴのフォントも、前作では柔らかいイメージのFS Albertでしたが、今回はGoogleが開発したNoto Sansが選ばれました。
このフォントを使うことで、世界中のどの言語にも対応し、デジタルでもアナログでも同じくメッセージを伝えることが可能になっています。
さらに2色のブルーラインが象徴しているのは「科学と患者の幸福に対する情熱と献身」だと言います。
今回のファイザー社のロゴ更新には、遺伝子工学などによる科学の進歩に伴う新しい製薬の開発に、今後は注力していくという同社の姿勢が現れています。
カンパニーカラーのベースは変えずに、フォルムとフォントを時代に合わせて変更し、企業理念まで表現しているファイザー社の新作は、企業ロゴとしてとても高い説得力を持ったロゴマークとなりました。
またGoogleのロゴを採用するなど、世界に広く浸透させる意図も見えます。ワクチンが世界に広がった絶妙のタイミングでの発表も、さすがだと言えます。
このブランディング力はお手本となるのではないでしょうか。ぜひ発表のタイミングも合わせて、参考にしてみてはいかがでしょう。
参考サイト