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世界を驚かせたYahoo!のロゴ変更~はじめに~
2019年、アメリカのヤフー本社が突如として自社ロゴの変更を発表して世界中を驚かせました。
画像出典:IT media NEWS
左が新しいロゴ。すべて小文字表記で丸みを帯びた現代的なフォントが特徴的です。
一方の旧ロゴはすべて大文字で、線の細いスタイリッシュな文字だったことがわかります。
ロゴマークは企業やブランド、さまざまな組織、サービスなどにも使用され、企業理念やブランドイメージなどを伝える強力なツールとして重要なアイテムといえます。そのロゴマークを変更するのは企業にとって大きな賭けであり、成功例も失敗例もどちらでも、大企業になればなるほど世界中から注目されてしまいます。
ではロゴマークを変えるのはなぜなのでしょうか。
ヤフー本社の場合、ロゴだけではなく、同時に製品や新しい機能を展開していくことが発表されています。また各サービスでは「y!」というロゴを新たに作り、ヤフーとして新しいブランディングが必要となった結果ともいえます。
このように企業がロゴマークを変えるのは、戦略的な理由や時代背景、その時の流行などさまざまな理由が考えられます。
今回は世界的に有名なロゴマークの変遷をたどり、その背景を探っていきます。
時代のトレンドにのったGoogle
1996年、スタンフォード大学の研究プロジェクトだった検索エンジンGoogle。最初のロゴは当時としては新しかった3Dテキストジェネレーターを利用して製作されました。まだまだ技術が稚拙だったことがうかがえるロゴですね。
その後1990年代後半からは現在同様文字がはっきりと見える角度になり、1999年に発表されたロゴは2010年まで使用され世界中から慕われてきました。
上)最初のロゴ 下)1999年発表のロゴ
2013年に制作された新しいロゴ
画像出典:Googleロゴの歴史
最新のフォントはProduct Sansと呼ばれGoogle自身が作成したもの。より平らかでビビッドなカラーはシリコンバレーのトレンドともいわれており、Googleも時代のトレンドに乗った形になります。
賛否を超え企業理念を伝えたInstagram
左)クラシカルなカメラのスキューモフィックデザイン 右)刷新されたフラットデザインの新ロゴ
画像出典(左):WWW.MARKSIGN.NET
画像出典(右):インスタグラム
2016年のある日、インスタグラムをアップデート後、ふと自分のスマホを見てビックリした人も多かったのではないでしょうか?
そう、クラシカルなカメラから、ぐっとシンプルなデザインのアイコンロゴへとガラッと変わっていたからです。
これには世界中から賛否が沸き起こりました。
インスタグラムはこの反応に対して、以下のように答えています。
これまでのインスタグラムは写真加工アプリのイメージが強かったが、今ではさまざまな人が写真や動画を共有する多様性のあるコミュニティーに発展し、以前のロゴではそれが伝えられなかったため、より良いものを作り出せると考えました
ユーザーの多様性を企業としても共有していこうという姿勢の表れだといえますね。その後インスタグラムは月間アクティブユーザーが7億人を突破するなど業績の拡大に成功し、ロゴ変更による企業の意思表明が世界から支持された結果になりました。
奇抜なモチーフだけで認識させるスターバックスコーヒー
画像出典:スターバックスのロゴに込められた意味は? 広報さんに聞いてみた | TECH+
2020年には日本国内で1500店目をオープンさせたスターバックス。いまやコーヒーの代名詞といわれるほど、私たちの生活にも浸透しました。
最初のロゴはコーヒーをイメージさせるブラウンとホワイトが基本カラー。そしてふたつの尾を持つ人魚のモチーフ。実は船乗りを魅了しておぼれさせるという海の怪物でギリシャ神話の「セイレーン」だとされています。
コーヒーとは少し違う印象ですが「人を魅了する」というところから採用されたようです。
そのロゴですが、私たち日本人になじみがあるのはこちらではないでしょうか。
こちらが日本に初めてスターバックスコーヒーが登場した当時のロゴ。1992年に発表されました。
そして本国アメリカではこのロゴの前にもひとつ違うロゴが使用されていました。
画像出典:WorkshipMAGAZINE
1987年に発表された2作目のロゴです。現代と同じカラーが採用され、モチーフもかなりユニバーサルなデザインへと変更されています。
このロゴ変更はハワード・シュルツ(会長兼最高経営責任者)がブランドを買収したことがきっかけといわれています。
2011年発表の最新ロゴは、スターバックスコーヒーが設立されてからちょうど40周年の年というタイミング。それまで続いていた外側の円や文字がなくなり、人魚のモチーフだけが残りました。
もはや文字などはなくてもモチーフだけでスターバックスコーヒーというのが、世界中で認識できるようになった証です。
130年以上変わらないコカ・コーラの世界的な戦略
これまでロゴの変化を見てきましたが、最初のロゴからあまり変わらずに現代も使い続けているのがCoca-Cola(コカ・コーラ)です。
出典:日本コカ・コーラ株式会社
実は130年以上前にすでに商標登録がされたという驚きの歴史がありました。
コカ・コーラの生みの親は、薬剤師をしていたジョン・S・ペンバートン博士、そして経理担当だったフランク・M・ロビンソンのふたり。両者が1892年5月14日にはじめてロゴマークを商標登録したのが始まりです。
コカ・コーラのすごいところは、この同じロゴをそのまま使って世界中で販売してきたこと。つまり世界中どこへ行っても、あのロゴが目印となって、私たちはコカ・コーラを飲むことができるのです。
さまざまな企業が時代背景やブランディング、経営者の変更などによりロゴの変更を繰り返している中で、コカ・コーラはおよそ130年以上世界中で同じロゴを使い続けてきたことになります。
それは逆にコカ・コーラの戦略であり、世界中でコカ・コーラが愛されるようになった今、見事に戦略は成功したといえるでしょう。
まとめ
このように企業のロゴは、トレードマークとしてだけではない、さまざまな思いが込められたもので、それは必要に応じて変更を繰り返し、賛否の嵐を巻き起こしながらもその時の企業の姿勢を表してきました。
一方で、変わらない理念を表し続けている、コカ・コーラのようなロゴも存在します。どちらもロゴが企業の考え方を世の中に伝える、重要な役割を果たしてきたということです。
そういった見方で、企業やサービス、商品などのロゴの変化を探してみると、思わぬおもしろい発見がありそうですね。