1.はじめに
ロゴマークを使用する際、データ形式の違いについて知っておくと、何かと便利なことは、「超初心者でもわかるJPG・PNG」や「初心者でも分かるPNGとGIFの違い」などでご紹介しました。しかし、ロゴマークを作成する際には、ほかにもさまざまなデータ形式を見かけることがあります。
そこで今回は、PhotoshopやIllustratorでデータを作成する際によく用いられる「EPS」と「Ai」というデータ形式についてご紹介。ロゴマークを購入する上での違いなどについても解説します。
2.Aiデータとは?
両者の中でも、よくロゴマークデータをやりとりする上で聞かれるのがAiデータ形式です。Aiデータとは、Adobe Illustratorで利用できるデータ形式の一つであるとともに、標準ファイル形式でもあります。
私たちが、普段Excelのデータ形式である「.xls(x)」や、ワードのデータ形式である「.doc(x)」を見慣れているように、デザインの仕事をされている方にとっては見慣れたデータ形式の一つ。ロゴマーケットでも、納品物の一つとして、Aiデータを提供しています。
2-1. Aiデータの特徴と欠点
Aiデータの特徴は、なんといってもIllustratorの編集データなどを完全に保存できるところにあります。
一方、使用するIllustratorのバージョンによって表示が異なるなど、同じAdobe Illustratorの中でも安定しない点がAiデータの欠点でもあります。
例えば、Aiデータは印刷会社への入稿データとしても用いられますが、バージョンが異なると表示が変わるため、文字のアウトライン化などを必ず行っておく必要があるなど、一手間加える必要があります。
またAiデータは、Adobe Illustrator以外のグラフィックソフトでは基本的に開くことができません。そのためロゴマーケットをはじめ、Aiデータでロゴマークを納品する場合は、確認用としてPDFデータに変換したものを一緒に納品することがほとんどです。
つまりAiデータは、実際に一からデータを作る方にとっては便利の良いデータ形式なのですが、そのデータを確認しようとする場合、何かと面倒なことが多いデータ形式といえるかもしれません。
※2021年2月14日更新情報※
Aiデータの編集はIllustratorを使わなければできませんが、見るだけであればインストールされていないPCでも可能です。主な方法はご覧のとおりです。
1.Adobe Acrobat Reader DCを使う(Aiデータ保存時に「PDF互換ファイルを作成」をチェックしてもらう必要があります)
2.Macのプレビュー機能を使う
Point:AiデータはAdobe Illustratorの標準ファイル形式。バージョンの違うIllustratorや、他のグラフィックソフトでは編集できない
3.EPSデータとは?
こうしたAiデータの欠点を補っているのがEPSデータです。
Adobe Illustratorでしか開けないAiデータと異なり、Adobe Photoshopをはじめとした、さまざまなグラフィックソフトで開くことができるというのが大きなメリットとなっています。また、Aiデータよりも安定しているため、印刷会社の中には、EPSデータでの納品を推奨するところもあります。
一方、Aiデータのすべての情報を、どのグラフィックソフトでも開けるかというと、そういうわけではありません。Adobe Illustratorにしかない機能については、他のグラフィックソフトで表示することはできません。例えば透過が無視されたり、サポートされていないアルファチャンネルなどのデータについては、失われてしまうこともあります。
※2021年2月14日更新情報※
近年は、あまり印刷会社でもEPSが使われなくなっています。理由はEPSのプログラミング言語であるPostScriptが、印刷会社でも使われなくなっているためです。
一方で、PDFデータに対応しているところが多いため、EPSの重要性は薄れつつあると言えます。
Point:EPSデータはほとんどのグラフィックソフトで開けるデータ形式だが、Illustrator特有の編集情報については失われてしまうことも
4.ロゴマークを購入する上で大切なのは…
特徴が一長一短のAiデータとEPSデータ。ただ、ロゴマークを購入するという観点から言えば、AiデータとPDFデータをもらえば、基本的には問題ないと言えます。というのも、EPSデータはAiデータを他のグラフィックソフトで確認したり、簡単な編集を行うためのデータ形式です。すでに編集する必要のないロゴマークのデータにおいては、あまり意味がないかもしれません。
ただ、前述したように、印刷会社の関係上、どうしても頻繁にEPSデータを使用する可能性がある場合、なおかつAdobe Illustratorをお持ちでない場合は、EPSデータを貰っておいたほうがいいかもしれません。贔屓にしている印刷会社がある場合などは、EPSデータが必要かどうか、事前に確認しておいたほうがよいでしょう。
Point:ロゴデータを購入する上では、AiデータとPDFデータのセットがあれば十分。ただし、印刷会社によってはEPSデータが求められることも
5.まとめ
■AiデータはAdobe Illustratorの標準ファイル形式。Illustratorでしか開けない ■EPSデータはIllustrator以外でも開くことができるファイル形式 ■ロゴマークを利用する上では、AiデータとPDFがあればよいが、印刷会社によってはEPSが必要なことも |