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お米と産地を同時にブランディングした新しいお米のPR方法

はじめに

最近は日本各地でおいしいお米が新たに開発・販売されています。お米は意外と繊細な植物で、上手に生産するためには気候や病気などに強い稲を作ることが望まれています。

一方で食べる側の私たち日本人の好みも年々贅沢になり、料理に合わせたお米選びをするなど、食卓でのお米の価値も変化しています。

それでもやっぱり日本の食卓の中心にあるのがお米。

消費者のニーズに応えるために、各地のお米産地ではそれぞれ良質なブランド米の開発を増やし、お米市場はここ数年で競合が激化しているようです。

画像引用元:日本農業新聞

これだけ競争が激化している中で、産地ではお米のブランディングに力を入れてPR活動を行うようになりました。ここで重要な役割を果たしているのがロゴマークです。

新しく開発されたお米の多くは、デザイン性が高く、非常に創意工夫を凝らしたロゴマークを採用しています。

今回はお米のロゴマークの中から、産地のPRとしてお米をうまく活用しているケース2つをご紹介したいと思います。

地元の特徴と活動内容をうまく融合して産地&お米をPR-奈良市

画像引用元:奈良市 ※無断転用禁止

奈良と言えば「鹿」というイメージは、多くの人が抱いていると思います。そんな代名詞の「鹿」のシルエットがお米の中に浮かび上がり、稲穂や太陽、そして清流の流れなどの自然の恵みを合わせるなど、奈良市の特徴的なものを凝縮したのが、奈良市産米PRロゴマークです。

ロゴタイプにも工夫が凝らされており、頭文字が「NARA」になるように「NARA ALL RICE ACTION」と、奈良市の活動もしっかりとアピール。

もともと奈良県全体は豊饒な土地と水源に囲まれ、古くから天皇への献上米を生産するなど、米作りの長い歴史を持っています。奈良市でも特に市内東部の山間地域では、コシヒカリやヒノヒカリといった優良なお米の生産が盛んにおこなわれています。

今回のロゴマークは奈良市独自のお米普及の活動に使われたロゴマークで、奈良市では2019年から奈良市産のお米の消費拡大を目指してロゴマークを募集。52点の応募から愛媛県松山市の渡部 潤さんのこちらのロゴマークが採用となりました。

ひと目で奈良市のお米と分かるロゴマーク。お米の品種とともに、産地も上手にPRするロゴマークとなっていますね。

日本の頂・富士山を擁する雄大な土地のイメージを活用-JA御殿場

画像引用元:JA御殿場 ※無断転用禁止

富士山の麓という抜群の地の利を生かして、また地元の生産者たちの長年の努力から生まれる良質なお米のカップリングは、圧倒的な説得力を持って消費者にアピールします。その産地とお米の特徴を、最大限に表現したロゴマーク。

コシヒカリは現在、日本全国でその子供や孫にあたる新しいお米が生産されています。

気候や土地、自然環境の違いによって、同じコシヒカリ系統でもまったく違う特徴を持つ新しい品種が数多く誕生し、「ごてんばこしひかり」も同様に新しいコシヒカリとして、独自の特徴を持った品種になっています。

御殿場市は富士山の麓の標高300~600メートル、冷涼で寒暖差のある気候が特徴的。その環境を活かして「ごてんばこしひかり」を管内全域で栽培しています。

またJA御殿場が中心となり「量より質」をモットーに、消費者や環境に配慮した減化学肥料、減農薬を中心としたエコ栽培米の生産を推進。味も生産方法も消費者に優しいお米の開発に成功しました。

そこで御殿場のお米を全国にPRしようと作られたのが、今回のロゴマークです。

真ん中に輝くお米、そして富士山。下には田んぼに映った「逆さ富士」と「棚田」が描かれています。これはまさに御殿場市の原風景。産地の魅力をパッケージしながら、しっかりとお米も意識させることができ、ブランディング力の高いロゴマークです。

まとめ

今回は奈良市とJA御殿場の2つのロゴマークに絞ってご紹介しました。

近年のお米市場を見てみると、毎年素晴らしいお米が各地で生産・販売が開始されていて、日本の豊かな環境から生まれる美味しいお米を、私たちは味わうことができるのだと、しみじみと実感できました。生産者たちのたゆまぬ努力のおかげですね。

そんなお米の消費拡大のために、多くの人の思いとアイデアを込めたロゴマークの世界は、とても興味深いものがたくさんあります。

奈良市とJA御殿場のように、日本人の多くの人にとって印象深いその土地の特徴と、その土地で産まれたお米の特徴という両方の点を、うまくミックスさせて波及力を高めたロゴマークを制作してPRしていくことは、ほかの優秀なお米との差別化という意味でもとても重要なポイントになりそうです。

お米の産地も温暖化の影響で、ついには北海道産米が毎年優秀なお米に選出されるようになるなど、産地がどんどん拡大しています。

今後はお米だけではなく、果物や野菜の世界でも同様のことが起きるかもしれません。

その時に今回のロゴマークのお話を参考にしていただけたら嬉しいです。

《参考サイト》

日本農業新聞

奈良市

JA御殿場

 

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