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日本で開催されたG7サミットの歴代ロゴマークに込められた想いを紐解く

G7

画像引用元:首相官邸公式サイト

2023年で日本での開催7回目となるG7サミットは仏、米、英、独、日、伊、加の7カ国と欧州理事会議長及び欧州委員会委員長が参加して毎年開催される国際会議です。一つのテーブルで様々な意見交換がされる重要な会議であり、毎年どこで開催されるか?やそのロゴマークについても話題にのぼります。

今回は、先日公開されたロゴマークも含めサミットの歴代ロゴマークについて調べてみようと思います。

広島サミット

G7広島サミットロゴマーク

画像引用元:首相官邸公式サイト

今話題の2023年G7広島サミットのロゴマークになります。彩り鮮やかな折り紙を重ね合わせたように見えるデザイン。広島のOの文字を日の丸に見立てているところも日本らしいですね。こちらは応募総数854件の中から選ばれたロゴマークで最優秀賞の草野敬一さんの作品です。

草野さんは作品について『日本伝統の折り紙をモチーフに、G7を意味した7色で構成し、Gの形のクリップで束ねています。G7各国の伝統や特色および様々な地球規模課題についてのそれぞれの意見や主張を色分けで表し、日本を超えて世界各地に広まっている「折り紙」を通しての世界平和・結束・一体感をイメージしています』とお話しています。また、G7広島サミットロゴマーク選考会座長の佐藤可士和氏は『7色の彩りが美しく、「G」の形のクリップで結束や一体感といったメッセージを表現している点に新鮮味を感じます。また、「折り紙」と「HIROSHIMA」から「折り鶴」が連想され、平和への祈りへとイメージが広がり、広島で開催されるサミットのロゴマークとしてふさわしい作品だと思います。』と評されています。

Gがクリップになったデザインであることは、可士和氏のコメントで初めて気づきましたが奥が深いです。本当によく考えられた今回のサミットにふさわしいロゴマークと言えますね。

伊勢志摩サミット

伊勢志摩サミットロゴマーク

画像引用元:首相官邸公式サイト

お次は2016年に開かれた伊勢志摩サミットのロゴマークになります。桜の花びらと海、そして日本を象徴する日の丸のモチーフが「和」と「自然」を感じさせるデザインとなっていますね。全国の小中高校生の中から7084点の応募があり、有識者選考会が6点に絞った中から当時の首相である安倍晋三氏が最優秀賞として選ばれた作品で大分県立鶴崎工業高等学校3年生の宇津宮志保さんがデザインされました。

宇津宮さんは作品について『中央の赤い丸は日の丸を表しています。周囲には日本の象徴である桜の花びらを散りばめ、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7カ国の参加国を表しています。背景は伊勢志摩の美しい海を表現しました。この美しい海は世界につながっています。これからも世界が平和でありますよう祈っています。』と美しい景色と平和をアピールしたロゴマークであると述べられていました。また、G7伊勢志摩サミットロゴマーク選考会でも座長を務められた佐藤可士和氏は『桜や青い海というモチーフをバランスよく構成し、日本の美しい自然を表現しています。「伊勢志摩サミット」のロゴマークとして、日本の素晴らしさを発信するにふさわしい作品であると思います。』とコメントされていました。

花びらの数が7カ国を指し、伊勢志摩の持つ美しさを全面に押し出したよきデザインですね。1つ1つのパーツには意味があるのだということを実感させられるロゴマークです。

洞爺湖サミット

洞爺湖サミットロゴマーク

画像引用元:朝日新聞

2008年のサミットは北海道洞爺湖で開かれました。洞爺湖サミットの主要テーマの一つである環境・気候変動問題を題材に公募による4198点の中から選ばれたロゴマークになります。地球を連想させる青い球体に包まれた種から立派な若葉が芽生える姿が描かれた環境、気候、自然を感じさせてくれるデザイン。高校生5人グループの作品で、三重県立特別支援学校北勢きらら学園(同県四日市市)の近藤敦也さんらによる共同作品が選ばれました。

近藤さんは『発芽している緑の種を青い地球が取り囲んでいるデザインを通じて、地球上で自然と人間が共存する姿を表現したという。また、地球がいつまでも緑あふれる美しい星であってほしいという願いや、サミットから生まれた芽が成長して大きな実を結んでほしいというメッセージも込めた。』とコメントされています。

物事の始まりや、成長、発展などを連想させる種のモチーフが地球に包まれることによって環境保護であったり、自然と人との共存であったり、未来を守る、成長を見守るという沢山の意味合いが込められた見事な作品ですね。

九州・沖縄サミット

九州・沖縄サミットロゴマーク

画像引用元:外務省「G7/G8

2000年に名護市で開かれた九州・沖縄サミットでは全国から5,570件の応募がありました。このサミットで初めて地方都市で開催される事となり、その中から選ばれたのは太陽と海をモチーフとしたこちらの作品です。沖縄県在住のグラフィックデザイナー知念秀幸さんによる作品で明るさと優しさ、おおらかさと親しみやすさなど九州と沖縄のイメージをコンセプトとしてデザインされたそうです。太陽と海を合体させたようなデザインは赤と青の対比が印象的なロゴマークですね。周りの赤い円はG8(この頃はロシアも参加していたのでG8でした。)の情熱を表現したものだそうです。海を中心に参加国がメラメラともえている様子が伝わってきますね。

東京サミット

1993東京サミットロゴマーク

 

1986年東京サミットロゴマーク

画像引用元:外務省「外交政策

1993年、1986年、1979年と3回にわたり東京で開かれた東京サミットですが、一番最初の年についてはロゴマークは発見できませんでした。外務省のHPにも記載されてはいなかったので、元々ロゴマークが存在していないのかもしれませんね。

2つとも非常にシンプルで規則的な形をしたデザインです。上部の1993年のロゴマークは8つの輪が交差し繋がり一つの形となっているように見えます。水色のカラーは海を表すものでしょうか?8カ国が会話によって、繋がり、一致団結し物事を成し遂げていく姿を表現しているようにも見えるロゴマークです。下部の1986年のロゴマークは日本の国旗カラーの赤と「結び」や「しめ縄」などを連想させるデザインでこちらも輪になっていることで「繋がり」や「絆」「握手」などを表現したロゴマークのようです。中央のフォントが今となってはレトロさを感じさせるおしゃれなデザインですね。残念ながらこれらの作成者やロゴについてのコンセプトに関する明確な文献は発見できませんでした。この当時は今のようにインターネットが普及している時代ではないので、おそらく政府から依頼を受けたデザイナーによるものではないかと思われるのですが・・・。

こうして見ていくと、ロゴマークに対する価値や重要性もネット社会となった今と昔では随分変わっているように感じますね。沢山の人の目に触れやすく、情報がたくさん溢れている現代ではよりロゴマークなどのシンボルは重要な役割を果たしていると言えるでしょう。FS

参考サイト:
ウィキペディア「G7
首相官邸公式サイト

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