スタンフォード大学d.schoolが発行した「デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド」では、ノンデザイナーも触れておきたいデザイン思考のポイントが紹介されています。
本サイト『ノンデザイナー必見!ロゴデザインで活用したい「デザイン思考」の基本』では、今すぐ実践できるデザイン思考の基本をご紹介しました。そこで今回は、ロゴデザインですぐに取り入れたい、プロトタイプの制作とテストのコツをご紹介します。
Contents
プロトタイプとは
プロトタイプとは商品化する前の試作品のことです。有形物の場合、実際に使用する素材等を使って、流通品とほぼ同じものを作ることで、実際の機能やデザイン、操作性などをチェックし、製品化しても問題ないかを確認するために作られます。
ロゴマークの場合、あまりプロトタイプといった言い方はしませんが、納品前の最終チェックの段階のデザインなどが該当するでしょう。プロトタイプについて、またその活用方法を理解することで、ロゴマーク作成の手順を把握することができます。
プロトタイプの作成
プロトタイプがあれば、意見の相違を明確にしたうえで、何に軸を置いて改善するか決めることができます。チーム内の対立を防ぐためにも、ユーザーと一緒にプロトタイプの評価を行いましょう。
共感のためのプロトタイプ
ユーザーと一緒にプロトタイプを試すことで、共感的にユーザーへの理解を深めることができます。
解決策のプロトタイプはコンセプトの理解を深めるために役立ちます。一方で共感のプロトタイプは、デザイン領域や課題に直面した人たちの考え方について理解を深めるために役立つのです。
テストのためのプロトタイプ
プロトタイプのテストには、ユーザーに体験させて反応を見るケースが多くあります。解決策を試しユーザーのニーズを知る機会を持つことで、解決策だけではなくデザイン実践場面の違った側面を知るきっかけになります。
・ロゴのプロトタイプをテストする際のポイント
1つのプロトタイプの検討は短い時間で終わらせてしまいましょう。愛着を持ってしまう前に次のプロトタイプを検討することが肝要です。
またユーザー目線で考えることで、有益なフィードバックを得ることができます。例えば、「ユーザーにどんなことを感じて欲しいのか」「どんな行動をとって欲しいのか」という質問に答えていくことで、プロトタイプに集中することができます。
ユーザー主導のプロトタイプ
ユーザー主導のプロトタイプを作ることで、「ユーザーが何を作り出すのか見て理解する」ことができます。チームメンバーでは想定できなかったユーザーの考えや表面化したニーズ、そして特徴をつかめるでしょう。
ユーザー主導のプロトタイプは、ロゴデザインよりも物質的なプロトタイプのデザイン作成の際に役立ちます。
ユーザーとテストを行う
プロトタイプのテストは、解決策へのフィードバックの機会だけではなく、さらなる共感を得るためにも重要です。ユーザーとテストを行うことで、解決策を洗練するとともに、対象者に対する理解を深めることができます。
ユーザーとテストをする際のポイント
テストを行う際には「プロトタイプ」「前後の文脈とシナリオ」「テスト時のユーザーとの相互関係」「どう観察・把握をして優れたフィードバックを得るか」の4つが大切なポイントです。
また、テストの際には役割を決めておきましょう。ホスト役はシナリオ理解に必要な基本的な説明を行い、時間が来たらユーザーに質問します。
また、オブザーバーとして、単独の観察者を置きましょう。人手不足の場合にはオブザーバーが記録係を務めます。
ユーザーとテストをする際の手順
まずはロゴのプロトタイプを見せ、ユーザーに経験してもらいます。この際、ユーザーへの説明は最低限にとどめ、ホストの考えやプロトタイプを作成した理由などの説明は避けましょう。
その後ホストがユーザーにロゴを「どう感じたか?」と体験を聞き話をしてもらいます。さらに、ユーザーがプロトタイプをどう使うか観察しますが、ロゴの場合、物質的なプロトタイプは作らないので観察は省きます。
そしてテストの中で一番大切な「質問」をします。「ロゴをみてどんな気持ちになったか」「どうしてそう感じたか」と深堀をしていくことで、より良いフィードバックを受けることができます。
問いかけを行う
テストをしたら、問いかけを行いましょう。「〇〇がいい (I like)」「〇〇ならもっといい (I wish)」「もし〇〇なら…(what if)」という問いかけを行うことによって、チームメンバーやユーザーから意外なフィードバックを受けることができるケースもあります。
この際に注意したいのが、フィードバックを受ける前に「私はどう思うか」を相手に伝えることです。ポジティブに表現をすると、オープンなフィードバックを引き出すことができます。
「検討するためにチームを2つに分けたい(I Like)」
「ユーザーテストを実施する前に、計画について話し合いたい(I Wish)」
「もしロゴをマスコットキャラクターと組み合わせる場合、どのロゴが適しているか(What if)」
そしてフィードバックを聞き、それを基に議論をするか決めましょう。
おわりに
プロトタイプの作成とテスト、そして改善を繰り返すことで、ロゴをブラッシュアップすることができます。
より良いデザインを実現するためにも。チームメンバーだけではなくユーザーを巻き込んだテストを行い、多角的な角度で検討してください。