スタンフォード大学d.schoolが発行した「デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド」では、デザイナー以外も活用できるデザイン思考の基本が紹介されています。
今回はその中でも、ノンデザイナーが特に触れておきたいポイントをご紹介します。より良いロゴデザインを作成するために、デザイン思考を取り入れ、チームで実践してみましょう。
Contents
■デザイン思考とは
デザインはある課題をアイディアや表現で解決するものです。「デザイン」とひとことでいっても、とても広い領域があります。商品パッケージやロゴだけではなく、システムや経営など、多彩な分野でデザインが活かされているのです。
デザイン思考では、こうした特性を理解し、デザイナーの発想法を利用します。自身がデザイナーである必要はなく、優秀なデザイナーをチームに迎えたり、デザイナーに依頼し自分がデザイン思考を実践することで、活用することができます。
▼デザイン思考の5つのステップとは
デザイン思考では、次の5つのステップを実践し繰り返すことで、アイデアをブラッシュアップしていきます。
・共感
ユーザーを観察するだけではなく、交流し、かかわりを持ちます。ユーザーの体験を自分も経験することで、ユーザーへの理解を深めるとともに共感することができるのです。
・問題定義
ユーザーに共感することで、ニーズに気が付くと共にインサイト(核心)に触れることができます。着眼点を見つける過程が「問題定義」です。
・創造
創造ではコンセプトや結果を拡大し、多彩な解決策を探します。アイデアを大量かつ多様に考えてどんどん出していくフェーズです。
・プロトタイプ
アイデアをカタチにします。ロゴデザインの場合には、仮ビジュアルがプロトタイプです。
・テスト
プロトタイプの解決策を改善します。ユーザーについて学べるとともに、着眼点を見直すきっかけにもなる大切な過程です。
■空想キャラクターを作ろう
本文献では、マーケティングで使われるペルソナを「空想キャラクター」と呼んでいます。
ターゲットである顧客を、チームメンバー全員がイメージしやすいように、年齢や性別だけではなく年収や趣味、イメージ画像を作成、共有しましょう。
デザイン思考では、顧客へのインタビューをメソッドの1つに挙げています。空想キャラクターを作成する際には、インタビューを行った過程でユーザーグループにおいて気が付いた典型的な特徴や傾向を含めると共に、補完的ないくつかの特徴を加えます。
■多角的に検討するために活用したい「Powers of Ten(10のべき乗)」
物事を別の角度から見るために、「Powers of Ten(10のべき乗)」を活用しましょう。
1つの側面に対して、引いてみたり近寄ってみたりします。ものをみるレンズには色んな倍率があります。フォーカスするだけではなく時に引いてみることで、アイデアが浮かぶこともあるのです。
例えば、グループでブレストを実施する際。アイディアをうまく引き出すために、1つ制限を設けてみましょう。
「カラフルなロゴを白黒で活用するシーンがあったとしたら」
「マスコットキャラクターと組み合わせて使うことになったら」
上記のような現実から少し離れた刺激を与えることによって、チームが再び活性化するケースも多くあります。
■ブレストのポイント
本文献から、デザイン思考を実践するためのブレストのポイントをご紹介します。
ブレストは、意見交換を行い他人のアイデアを発展させることで、沢山の解決策を生み出せる方法です。さらに共感ワークの実践場所の計画を立てたり、プロジェクトと関係がある製品やサービスについて考える際にも活用できます。
▼ブレストの基本「〇〇してはどうか?」 (How might we:HMW)
本文献では、「How might we:HMW」という問いかけが、ブレストをはじめアイデアを得るきっかけだと紹介しています。
その際、問いの範囲がプロジェクトやタスクの進捗具合に応じた適切なものであることが大切です。例えばロゴのデザインを複数から絞り込む段階で、「リ・デザインしてはどうか?」というのは広すぎますし進捗にそぐいません。
「空想キャラクターにはどのロゴが魅力的か?」のような適切な質問を心がけましょう。
▼ブレストのルール
ブレストをする際には、アイデアに対する評価・判断・批判を行うのは別の機会にしましょう。一つひとつのアイディアを精査していると、沢山のアイディアを出すのに時間がかかってしまいます。
15~30分程度の短時間にコミットして積極的にアイデアを出し合います。ブレストで出てきた内容は、みんなが見やすいようにホワイトボードなどに書きだすだけではなく、声に出して読みチーム内で共有しましょう。
■おわりに
非デザイナーがスグに実践できる、デザイン思考の基本をご紹介しました。
デザイン思考は、ロゴデザインだけではなく、多彩なデザインやプロダクト、そして経営などでも活用できるので、ぜひ自分のものにしてくださいね。
基本に触れたら、プロトタイプの制作とテストのコツにも目を通しておきましょう。