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はじめに
みなさん日々生活をしている中で、ロゴを目にしない日はありますか?
例えば街中のビル、巨大モニターに映し出される広告、ビルの看板、タクシーやバスにラッピングされた広告などなど。私たちの身の回りには多くのロゴが存在して、ほとんど毎日ロゴに囲まれて生活しているといえるでしょう。
またロゴを見ればどの企業なのか、なんの商品なのか、どのアプリなのかといったことが、ひとめで分かる有名なロゴも存在し、ひとことでロゴが大きな影響力を持つ場合もあります。
ロゴデザイナーはどのようにしてこのようなロゴを生み出すのでしょうか。
これからロゴデザイナーを目指す人や、自分でロゴを作って販売してみたいという人などにも参考にしてもらえるよう、ロゴデザイナーの仕事についてご紹介します。
ロゴデザイナーに必要なもの
ひとことでロゴデザインといっても企業のロゴや商品、サービスまで現代はさまざまなロゴにあふれています。
数あるロゴを見渡してみると共通している重要なことに気づきます。
それは『インパクトや独創性があり企業や商品をひとめで表しているロゴ』という点です。
このようなロゴを作り出すためデザイナーには次のようなことが求められると考えられます。
1. 企業などクライアントの意向をくみ取りデザインに反映できるスキル
2. クライアントとの意思統一のための粘り強コミュニケーション力
3. 商品やサービスのブランディング力
4. マーケットを意識できるような情報収集力
5. 新しいデザインを生み出すクリエイティビティ
ロゴデザインとはただ『カッコイイ』や『クール』といった感覚や感性だけではなく、ビジネスにおける広告やブランディングに対する知識を併せ持っている方が、より訴求力の高いロゴを作り出すことが可能だといえます。
また実は、ほとんどのロゴデザイナーはグラフィックデザイナーを主な仕事としています。
ロゴを作るにはILLUSTRATORやPHOTOSHOPなどの専用のソフトを使いこなす必要があり、グラフィックデザイナーの知識を備えていることは必須条件といえます。
ロゴデザインに特筆されること
ロゴデザイナーのほとんどがグラフィックデザイナーとして仕事をしているという話をしましたが、グラフィックデザインとロゴを比べると、ロゴには特筆すべきことがあります。
特に企業や商品、サービスなどに関してはCI(コーポレートアイデンティティ)やVI(ビジュアルアイデンティティ)との密接な関係があります。
CI(コーポレートアイデンティティ)とは
ひとつの企業がすべての部署や人材を通して、理念やイメージを社会に発信し共有することで企業価値を高めていくこと。
VI(ビジュアルアイデンティティ)とは
自社のブランドの特徴や個性をデザインなどではっきりと提示することでブランドの価値を高め、共通したイメージを社会に広く浸透させること。
CI、VIどちらにとっても重要なポイントが企業の価値やイメージを社会に共有してもらうことです。
グラフィックデザインの中でも、企業のCIやVIをひとめで社会に発信できるのがロゴというわけです。
ロゴデザイナーの仕事内容~ロゴ作成の目的~
ロゴのデザインは主にクライアントからの依頼によって発生します。
デザイナーはクライアントとの打ち合わせを繰り返し、どのようなコンセプトでどのようなことを発信しようとしているのかなど、詳細な情報をクライアントから引き出していきます。
これもロゴデザイナーのひとつの才能ともいえるかもしれません。
ここで重要になってくるのが『なぜロゴを作るのか』あるいは『ロゴを新たに作るのはなぜか』という、ロゴ作成の目的をはっきりとしておくことです。
目的がゆらいでいると、企業が伝えたい理念や想いがあいまいになりロゴ制作にも影響します。
《目的を整理する際のポイント》
・ロゴのリニューアルや新規作成の理由はなにか
・どんなときに、どこで使用するか
・どんな機能を果たすころを期待しているか
そのうえでロゴに込める企業の理念やストーリーなども考えていきます。
ロゴデザイナーの仕事~デザイン編~
ここからが具体的なデザインの仕事になります。
クライアントから詳細な情報をヒアリングし、企業理念やブランドアイデンティティにあったカラーや文字、図案などを作り出していきます。
その際の注意点は以下のポイントになります。
・コンセプトとのズレはないか
・図案や文字の色や形に理念や想いが込められているか
・図案や文字の色や形にストーリーを反映しているか
・将来を見据えたデザインになっているか
・ターゲットはどこか
ロゴデザイナーの仕事~完成まで~
デザイン案ができたらクライアントへのプレゼンテーションです。
ここではいくつかの候補を用意しておく方がいいでしょう。
またロゴ案がひとつに決まったあとも、何度も修正依頼が発生する場合もあります。
クライアントとデザイナーの双方が納得いくまで修正を繰り返していくこともロゴデザイナーとして大事な仕事です。
ロゴが完成したらクライアントに納品となります。
この時にはロゴの使用規約のようなレギュレーションを作っておくとよいでしょう。
《レギュレーションの内容例》
・ロゴの使用規定
・余白設定(モノクロ時、カラー時)
・ロゴの背景色
・最小サイズ規定
これらの作業をおこない、クライアントに提出することで、デザイナーの仕事の流れは一旦終了となります。
有名ロゴデザイナーとその仕事
ロゴデザイナー、クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナーなどとして活躍している、日本でTOPの方たちとそのお仕事のほんの一部を紹介します。
ロゴデザイナーを目指す人にとっては、あこがれの存在といえるでしょう。
佐藤 可士和氏
画像出典:佐藤可士和
東京都出身のクリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナー。クリエイティブスタジオ「株式会社SAMURAI」代表取締役でもあります。SMAPのアートワークやNTTdocomoや携帯電話のデザインなど、デザインに関することをトータルで行っています。毎日デザイン賞など受賞歴も多数。
代表作品
画像出典:佐藤可士和公式HP
2006年にグローバル展開を開始したユニクロの「美意識ある超合理性」というコンセプトから、独自のロゴマークやコーポレートフォントを新たに開発し、世界的なプロモーションも手がけています。
画像出典:佐藤可士和公式HP
2003年にグローバルカンパニーを目指してVI計画の依頼を受けてロゴやコーポレートフォントの開発に着手。その後もCMやプロモーション、カフェや店舗の空間ディレクションなどを行い同社のトータルブランディングを手掛けています。
水野 学氏
画像出典:Type Project
1972年東京生まれ。Good design company代表取締役。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。熊本県の「くまモン」のキャラクターデザインも手がけています。ゼロからのブランドづくりをはじめ、商品企画、ロゴ制作、長期的なブランドコンサルティングを行う。
代表作品
画像出典:goog design company
2008年に手がけた農林水産省のロゴ。下のイラスト&ロゴの作品では、農林水産業に関わる動植物のすべてが描かれている斬新なデザインです。
画像出典:good design company
奈良県にある中川政七商店のロゴ。当初はバッグの制作だけの依頼でしたが、水野氏の提案によりトータルでCI構築に至りました。その中で生まれたロゴマークは中川政七商店の歴史をも想起させるデザインとなっています。
大貫 卓也氏
画像出典:Pen online
1958年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業後、博報堂に入社しすぐに頭角を現す。1993年には独立し、日清食品カップヌードルや原宿ラフォーレなどかずかずの商品やブランドのアートディレクターをつとめる。毎日広告デザイン賞最高賞、読売広告賞グランプリなどを受賞。
画像出典:公益社団法人日本プロサッカーリーグ
1993年のJリーグ開始以来変わらず使用され続けているおなじみのロゴ。真ん中には日の丸をイメージした赤い丸がデザインされています。
画像出典:SoftBank Group
現在のSoftBankのロゴでは黄色のラインがグレーに変更されていますが、社名のフォントや2本線のラインは変わらずに使用されています。2本のラインは坂本龍馬が率いた海援隊の旗印をモチーフにしておりSoftBankグループの情報革命の象徴です。
まとめ
ロゴデザイナーになるにはまず、グラフィックデザインの知識を身につけることから始まります。専門の学科がある大学や専門学校で学び、その後は広告代理店やデザイン事務所で経験を積むという流れになることがほとんどです。
意外と地道な努力も必要ですが、センスがある作品を発表し続けることができれば、一躍有名デザイナーの仲間入りすることも夢ではありません。
また近年では新興のIT企業がつぎつぎと誕生し、さまざまなアプリも世の中に登場しています。こうしたシーンでもロゴは利用されるため、ロゴデザイナーの市場は将来的にも拡大傾向にあり活躍の場はますます広がるでしょう。
《参考URL》
タイポグラフィ – 言語造形の規格化と定数化の軌跡 / 白井 敬尚 | ÉKRITS / エクリ (ekrits.jp)