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バーチャルキャラクター(VTuber)の活動で注意したい法律

注目を集めるバーチャルキャラクターですが、権利関係は2Dのキャラクターよりも注意すべき点が多いのをご存知でしょうか。

オリジナルキャラクターをバーチャルキャラクター(Vtuber)にしたい方や、3Dで作りたい方のために、「バーチャルキャラクターと法律」をまとめてみました。企業や製品の顔となるキャラクターの権利を守るためにもご一読ください。

■不法行為に関するもの

民法709条では、不法行為と損害賠償について定めています。

他者の肖像権だけではなく、パブリシティ権やプライバシー権、もしくは著作権等を侵害してしまった場合には、損害賠償責任を負う可能性があります。動画投稿をする際には、他者の権利を侵さないように注意しましょう。

▼肖像権

個人に認められている権利です。動画の中で個人の容姿や顔を許可なく映してしまうと、損害賠償を請求される可能性があります。

▼パブリシティ権

芸能人やスポーツ選手といった、著名人が持っている権利です。個人だけではなく著名人の画像や映像も、無許可で動画に用いるのはやめましょう。

▼プライバシー権

個人のプライバシーをみだりに公開されないという権利です。同意なく他者のプライベートを動画化するのは避けましょう。

▼著作権

キャラクターには著作権はありませんが、著作物である画像や3Dモデルには著作権が発生します。

つまり、キャラクターの概念には著作権がなく、具体的な絵や動画は著作物なのです。

また、動画の著作権は動画を制作した人が権利を有します。

トラブルを避けるためにも、契約時にしっかりと取り決めを行いましょう。著作権は親告罪であり、侵害しても権利者から訴えられないと罪に問われることがないのも注意点のひとつです。

■バーチャルキャラクターの著作人格権

著作物には、「著作人格権」が認められています。これには、複製権・翻案権や同一性保持権などが含まれています。

つまり、著作者の許可なくキャラクターの改変などを行うことはできません。

しかし、VTuber のイラストやモデルは、中の人本人ではなくプロのイラストレーターを起用したりするケースも珍しくありません。この場合、著作権の譲渡を受け、著作人格権の停止を契約に明記することでトラブルを回避することができます。

■バーチャルキャラクターの人格権

バーチャルキャラクターの人格権は、パーソン型VTuberとキャラクター型VTuberの2つのパターンが考えられます。

▼パーソン型VTuberの人格権

パーソン型のVTuberの場合、人間が中の人としてキャラクターやアバターを衣装のようにまとって活動を行っています。この場合には、バーチャルキャラクターに対して誹謗中傷などの人権侵害が行われると、キャラクターだけではなく「中の人」が傷つくことになります。

そのため、パーソン型のVTuberは、人格権を行使して法的保護を受けられると考えられるのです。

▼キャラクター型VTuberの人格権

「中の人」の存在を感じさせずにキャラクター自体がVTuberとして活動している場合、中の人とキャラクターが人格的に切り離されているので、中の人の人格権を行使してキャラクターの権利の侵害に対抗するのは難しいです。

しかし、オリジナルキャラクターがパーソン型ではないからと言って、中の人への攻撃が許されるわけではありません。攻撃をする人が、中の人に対する明確な攻撃意図を持って攻撃を繰り返す場合には、法的保護の対象になり得ます。

現状ではキャラクター型VTuberへの攻撃をを保護する法律構成はありませんが、キャラクターを「法人化」することで、法人に対する人格権を認めることは理論上可能です。

■「ライセンス」を考える

著作者が使用許諾を与えることで、キャラクターを利用することができます。沢山の方に親しんでもらい、認知度をあげるために、ライセンス化をお考えの方も多いかもしれません。

ここで注意したいのが「ブランディング」です。望まない使われ方をしたり、イメージにそぐわない表現をされたりすると、キャラクターのイメージだけではなく、企業や商品のイメージまで悪くなってしまいます。

そのためブランディングに注意し、「どんなことをして欲しくないのか」を考えてライセンスを設定しましょう。サービスを限定したり、使用の制限を行うことで、好ましくない使われ方を避けることができます。

■おわりに

キャラクターの活動を円滑に行うためにも、活動前に権利関係をしっかりと触れ、ガイドラインを作って運用しましょう。

キャラクターの種類や活動内容、運用方法によっても関係する法律が異なるので、ガイドライン策定時には法律の専門家によるリーガルチェックがおすすめです。トラブルを防ぐためにも、正しい知識を身に着けてくださいね。

参考:静岡大学学術院情報学領域准教授 原田 伸一朗氏「バーチャル YouTuber の人格権および著作者人格権」

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