キャラクターの作り方・買い方
オリジナルキャラクター制作の基本~モチーフを擬人化するコツ~
キャラクター作成の手法のひとつに擬人化があります。日本で親しまれている多くのキャラクターが、擬人化によって生まれています。擬人化することで、イベントなどでも着ぐるみとなって人間のように振舞うことができます。
また、キャラクター自身がSNSで発信をしている設定が可能になるので、広報活動をする上で多くのメリットがあるのも嬉しいポイントです。
今回は、モチーフを擬人化するときのコツについてご紹介します。
■擬人化の2つのパターン
擬人化には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
▼見た目はモチーフで人間のエッセンスを加える場合
画像引用元:しまねっこの部屋。「プロフィール」島根県観光キャラクター「しまねっこ」。「黄色いボディーの猫」「お社」「しめ縄」がモチーフとなっていて、そこに人間のエッセンスを加えることで擬人化しています。二本足で立ち、お社風キャップ、しめ縄風マフラーによって見た目の人間っぽさが出ていますね。
また、「とにかく明るい性格」や「ダンスが得意」など、性格や特徴も人間に近いです。
しまねっこは、TwitterやInstagram、ブログなども積極的に投稿していますので、広報活動を積極的に行いたい擬人化キャラクターの参考になりますよ。
▼見た目は人間でモチーフのエッセンスを加える場合
画像引用元:潮来市「あやめの部屋」潮来市の水郷潮来あやめ園出身の「あやめ」。あやめの花の妖精ですが、ベースは人間の容姿です。髪の毛や長靴の部分に菖蒲色(あやめいろ)使用し、「霞でできたカッパのようなものを着ている」という設定にすることでモチーフのエッセンスを加えています。
人間をベースにすることで、人間らしい項目を多く設定できるようになります。あやめの場合は、性格や特徴にも「まだ子ども」「ほぼ無表情」「注射は嫌い」など人間味を感じる細かい設定が用意されています。
より人間らしい設定ができることによって、人の生活に密着したサービスのキャンペーンなども自然な形でPRできるキャラクターになります。
■どんなモチーフを使うか決める
擬人化をする場合、はじめに「何をモチーフにするか」を決めます。地域、サービスや商品のコンセプトから連想されるモチーフを考えましょう。動物やもの、建物、自然、実在しないものなど、モチーフになりそうなものを挙げていきます。コンセプトを最も表現しやすいモチーフを設定するのがポイントです。
■モチーフの特徴を書き出し、イメージを考えてみる
モチーフが決まったら、モチーフの持つ特徴を思いつく限り書き出してみます。
しまねっこを例に考えてみましょう。猫は「にゃーと鳴く」「魚が好き」「かわいい」などのイメージが浮かびますよね。
さらに、お社は「屋根が印象的」しめ縄は「長い」などのように、特徴をドンドン書き出していきます。
そして書き出したものを眺めながらイメージを考えてみましょう。キャラクターの見た目に活かせそうな項目はデザインに利用し、裏設定として使えそうな項目はキャラクターの歴史や性格に使うことができます。
この時、擬人化にとって重要なのが「人間だったらどうなるかな」と考えながらイメージすることです。「話をさせたい。猫だから語尾を変えてみよう」「お社の屋根は帽子にできないかな」「しめ縄はマフラーにしてみよう」と、だんだんイメージが具体化していきます。
イメージが出来上がったらデザインの作成に移りましょう。
■擬人化のデザインを考える
擬人化のデザインには、コツがあります。
▼シルエットにこだわる
出来上がったイメージを具現化するにあたって重要なのがシルエットです。シルエットはキャラクターの性格や印象を大きく左右します。ドラえもんのキャラクターで想像するとわかりやすいかもしれません。
(例)
丸(ドラえもん)=かわいい、やさしそう
三角(スネ夫)=いじわるそう
四角(ジャイアン)=こわそう、強そう
また、特に人間をモチーフにする場合は何頭身にするかもポイントになります。かわいいイメージを目指すなら2~3頭身に、もっと人間らしいシルエットを目指すなら7~9頭身が良いでしょう。着ぐるみを作る予定があるなどの場合は1~3頭身程度にデフォルメする必要があるので注意が必要です。
そして、全体のバランスを見ながら、大きいパーツをつけてあげるとメリハリがつき、他のキャラクターとの差別化ができます。帽子や持ち物、手足、しっぽなど特にキャラクターのポイントとなる部分を大きくしてみましょう。
▼配色に気を配る
色の持つ印象もキャラクターに影響を与えます。暖色は温かい印象、寒色は冷たい印象を与えることで知られています。
また、全体的な統一感を持たせるための色比率は次のようになります。
ベースカラー:70%
サブカラー:25%
アクセントカラー:5%
前述した潮来市の「あやめ」のようにモチーフの色を使用したい場合も、アクセントカラーとして使用することで全体を引き締めているのがわかります。
さらに、商品化が決まっている場合には、商品の色とのバランスも大切です。着ぐるみなどでPRを行う場合は、彩度の高い色を使うと目立ちやすくなります。目立ちやすい色を選択することで、他のキャラクターと一緒に並んでSNSに掲載される場合にも分かりやすいです。
■おわりに
キャラクターの擬人化のコツについてご紹介しました。
擬人化という手法にも色々なパターンや個性の出し方があることがわかりますね。キャラクターデザインの段階から、後の活動方法も見通しを立てておくことで、活動の幅も広がります。
何でもできる運動神経抜群のキャラクターや、転んでばかりでドジだけど愛嬌のあるキャラクター。あなたなら、どんな擬人化をしますか。