知っておきたいキャラクター予備情報
キャラクターを公募する際に注意したい「知的財産管理」のポイント
「知的財産管理」を適切に行うことで、キャラクターの権利を守りトラブルを防ぐことができます。
特に注意したいのが、キャラクターの作成を外部に委託したり公募した際のトラブルです。
さらに、著作権の取り決めだけではなく、商標登録をすることでもキャラクターを守ることができます。
そこで今回は、キャラクターを公募する際に注意したい「知的財産管理」のポイントをご紹介します。
■キャラクターを作成する際に注意したい著作権
キャラクターの作成を外部に委託したり公募したりする際には、著作権の処理を行い制作者から発注者に著作権譲渡や著作人格権の行使の停止、そして権原保証などの取り決めをしておく必要があります。
キャラクターを内製する場合
仕事として制作した「職務著作」に当たる場合には、所属する企業や自治体に著作権が帰属します。そのため、著作権の処理は必要ありません。
次の5つの要件を全て満たす場合(プログラムは例外として(4)を満たさなくても良い)には、法人に著作権が帰属します。
(1)法人等の発意に基づき作成されるもの
(2)法人等の業務に従事する者により作成されるもの
(3)法人等の従業者の職務上作成されるもの
(4)法人等の著作名義の下に公表するもの
(5)法人内部の契約、勤務規則等に、別段の定めがないこと
ここで注意したいのが、外部のスタッフや公募を行ったものは、職務著作に当たらない点です。
キャラクター制作を外部に委託したり公募したりする場合
外部に制作を委託したり公募する場合、翻案権並びに二次的著作物の利用に関する権利を移転するだけではなく、他者に譲渡・移転することができないとされている「著作者人格権」(公表権・氏名表示権・同一性保持権)を行使しないように明文化することが大切です。
また、キャラクターがオリジナルであることを保証する権原保証や、他者の創作物を盗んで自己もしくは第三者の創作物とする「冒認」がないことも大切なポイントです。
権利を侵さないためには、制作・応募されたキャラクターが転用されたものでないか、他の著作物の権利を侵していないかを確認しましょう。インターネット上で検索をするだけではなく、先願している商標と重複がないか特許庁のデータベースで調査しましょう。
著作権については、以下の記事でもご紹介しています。
■キャラクターを商品化する際に注意したいポイント
実は著作物には「著作権が発生」しますが、「創作物」の保護を対象にしているため、シンプルな図表や名称は含まれません。このことから、「キャラクター自体には著作権が発生しない」と解釈されるケースもあります。
そのため、キャラクターの権利を守るためには、著作権の取り決めだけではなく「商標登録」を行うのがオススメです。
▼商標登録って何?
特許庁に商標登録出願を行い、登録要件を満たしているか審査を受け、商標原簿へ商標権の設定登録をされると商標権が発生します。商標登録をすると、作った人や提供している人を示すマークがつけられます。キャラクターだけではなく会社名や店舗名など、多彩なものが商標として登録されています。
商標登録を行う際には、先行商標調査をして他者の権利を侵害しないよう心がけましょう。特許庁のデータベース(IPDL)で調査し、登録がない場合のみ使用することができます。
商標登録の際には、その「商標」をどんな「業種」に登録するのかという2点をセットで申請をします。商標登録をすると独占権が発生しますが、その範囲は登録業種に限られるので注意が必要です。
また、商標登録は先願主義なので、先に使っていた人ではなく先に出願した人に権利が認められます。
そのため、キャラクターを制作したらスグに商標登録を行いましょう。
▼第三者へのライセンス利用許諾の際の注意
ライセンスの許諾を受けたら「ライセンシー」が、翻案によって他の商標を侵害してしまうことがあります。これを防止するためには、オフィシャルな図柄を提供し、使用ルールを作るのが効果的です。
そして、ライセンスの範囲についても明確にしましょう。使用地域や期間だけではなく、使用商品の定義などを明示することで、トラブルを防ぐことができます。ライセンス利用時の審査をしっかりとし、著作権者の標記を商品に記載するのも良いでしょう。
■おわりに
キャラクターの外部制作委託や公募をする際には、「知的財産管理」に注意することが必要です。ご紹介したポイントを確認するだけではなく、契約書作成時や公募前に専門家に相談し文書のチェックを受けるのもトラブルを防ぐために効果的です。
権利関係にも気を配り、キャラクターを守り育てましょう。